【父の日】父の背中
父への思いを綴ってみました。父へ届け!

【父の日】父の背中
ある日、父は鶏小屋にいました。
ヒヨコを育てて、卵を売るんだって。
ヒヨコは温度の変化に敏感で、すぐに弱っちゃうんだって。
父は寒い夜、ヒヨコ小屋で寝泊まりしていました。
部屋を暖めるために。
ヒヨコが身を寄せすぎて、高温で倒れないように様子を見るために。
ある日、父は木材を担いで作りかけの鶏小屋の上を歩いていました。
細い柱をまっすぐ歩いていました。
ヒヨコが育ったら、移動するための小屋を作ってるんだって。
そこで卵を産むんだって。
上を振り向くと父はいませんでした。
下に落下していた父は、スッと立ち、また木材を担ぎスタスタ歩いていました。
痛い素振りを見せなかったのは、父の意地だろうか。
父は、何もなかったかの如く作業を続けていました。

ある台風の日、父と母は血まみれで家に入ってきました。
台風で飛ばされたトタンが、自分たちの方へ飛んできたんだって。
父は母をかばって大けがをしてしまったって。
母は必死に、父の傷口をふさいでいました。
いざという時には、人を守る勇気。
わたしも持ちたいと思いました。
ある日、友達が家に遊びに来ました。
田舎で遠いので、バイクに乗って遊びに来ました。
そのバイクが故障して、バイクで帰れなくなりました。
父は何も言わず、友達のバイクを車の荷台に乗せて
「送るから」
と言いました。
重たいバイクを車に乗せた背中。
無駄なくバイクを固定する作業。
子どものために動いてくれるその姿勢。
「ジャッキーチェンみたい!かっこいい!」
父を尊敬した瞬間でした。
あの頃から何年過ぎたでしょう。
わたしも年を取ったが、父はもっと年を取りました。
お元気ですか。
遠い故郷の父。
耳が遠くなったと聞きました。
動くのがつらくて、寝ている日が多くなったと聞きました。
空にはきれいな満月が見えます。
同じ月は見ることができるは、嬉しいです。
簡単に遊びに行くことができないけれど、お体を大切にしてね。
あなたの背中を見て育ちました。
大切なのは何なのかを、自分の子にも伝えていきます。
お父さん、ありがとう。
